財界九州 2016年7月号
先日、刺激的な出逢いがあった。
七夕の夜、とあるフランス料理店で開催されたのは、管理職に上り詰めた女性の先輩方との交流会。
慣れないフランス料理に、名前も知らない人だらけ。背筋も凍りつく…失礼、大変恐縮した雰囲気の中、若輩者の私に優しく声をかけてくださる尊敬すべき先輩方は皆、知性とユーモアに溢れていた。そして彼女らの意識は、常に外に向いている。
そこで思った。
井の中の蛙にだけはなりたくない。
『踊る大捜査線』ではないが、会議室と現場は、もっと密接な繋がりを持たなければならない。
そのためには、現場の私たちが広い視野を持つ必要があると考える。
ゆえに、「財界九州」を読む。
あえてネットではなく、活字にこそ情報のこぼれ球があると踏んでいる。
表紙
ライトがオレンジ色のせいもあって昭和感が増す。トップを飾ったのは、福岡市長の高島宗一郎氏。
巻頭インタビューでは、その熊本地震支援についてこう述べている。
(地震発生直後の)そうした状況下で必要となる職員や知見を持ち、技術に精通しているのは、広域自治体の「県」ではなく、基礎自治体の「市」です。
これも現場ってことなのか…。
記者が、市長と国との関係が良いことはよく知られていると語っているが、その前にその「県」とはどうなのだろう。「アジアのリーダー都市」を目指すと言ってきたお方だから、世界に目を向けていていいなと思うけど、まず県でまとまるといいな。
続いて、今月号のテーマレポートである
“地域資源”を生かして「移住促進」
モデルケース①として、自治体の取り組みが紹介されている。
- 北九州市のお試し居住
- 武雄市の官民一体型学校による教育移住
- 豊後高田市の空き家バンク事業
- 延岡市のCM「河童と人魚の移住計画」
- 長島町の「ぶり奨学ローン」と特産物PR
- 宮崎市の移住コンシェルジュ
- 長崎県のキャンピングカーによる候補地巡り
- 沖縄県の市町村連携「県移住受入協議会」
全体に、自治体らしいベタな内容だなと思ってしまう。それでも、行動した自治体は、結果として移住者増に転じているようだ。
モデルケース②の民間の取り組みでは、地域の活力を視野にいれた総合的な取り組みと、仲間づくりがキーになるようだ。
- 福津市とまちづくり団体「津屋崎ブランチ」による事業では、絞られたターゲット設定、起業支援による雇用の創出、空き家の再生によってまちおこしを図る http://1000gen.com
- スマートデザインアソシエーションズの「福岡移住計画」というプロジェクトでは、福岡市などと連携し、街の魅力だけでなく、求人や不動産情報も発信している http://fukuoka-ijyu.jp/
- 宮崎県串間市では、「サーファー移住」が若者を中心に進む
民間って、その言葉の通り“人と人との間”なんだと思う。大きな尺度で物事を捉えようとする自治体に対して、もっとシンプルでいて身近なもの。言い換えると「街づくり」から始めるのではなく、「“仲間”づくり」から始めるという感覚であろうか。この感覚は、絶対に忘れてはならないと私は思う。
そうして、モデルケース③の街づくりの取り組みに繋がる。“地域資源”を生かす取り組みとして、本誌では“空き家”や“空き店舗”のリノベーションかリブランディングに焦点を当てている。なんだ、どこも結局同じか。プロ集団である建築士会との連携も進んでいるようだが、そこに行動力のある人間をどれだけ巻き込めるかが鍵なのかもしれない。やはり、持つべきものは友人なのだ。
その他にも、今月号の本誌は特集として福岡についての時流を知る記事が目白押しである。選挙もあった事だし、いつもとは違う目線で、真面目に地域を考えてみるのもたまにはいい。
Love & Peace